ダイヤモンドではなく、水晶です
はじめにはっきりさせておきたいのは、ハーキマーダイヤモンドは宝石のダイヤモンドではないということです。 鉱物としては石英、つまり水晶の仲間にあたります。
ではなぜダイヤモンドと呼ばれるのか。 採れたままの状態で、すでにダイヤモンドのような透明感と光沢を持っているからです。 十九世紀、ニューヨーク州ハーキマー郡でこの石を見つけた人々が、 その輝きからそう呼びはじめたと伝わっています。
ダイヤモンドの硬度が10であるのに対し、この石は7。数字の上では大きな差があります。 それでも呼び名が残り続けているのは、見た瞬間の印象がそれだけ強いということなのだと思います。
- 鉱物名
- 石英(クォーツ/水晶)
- 産地
- アメリカ・ニューヨーク州ハーキマー郡周辺
- モース硬度
- 7
- 結晶の形
- 両端が尖った十八面体(ダブルターミネーテッド)
- 色
- 無色透明。内包物により淡い色を帯びるものも
- 誕生石
- 4月(水晶として)
ハーキマー郡でしか採れない理由
この石が特別なのは、育った環境にあります。 およそ5億年前の地層、ドロマイトと呼ばれる硬い岩のなかの小さな空洞で、 途方もない時間をかけてゆっくりと結晶が育ちました。
ふつうの水晶は岩に片側がくっついた状態で成長するため、 尖った先端はひとつしかありません。 ところがハーキマーの石は、空洞のなかで浮かぶように育つため、 両端がきれいに尖った形になります。これをダブルターミネーテッドと呼びます。
同じ形をした水晶は世界のほかの場所でも産出しますが、 ハーキマーダイヤモンドと呼べるのはハーキマー郡周辺で採れたものだけ。 シャンパンの産地の考え方に少し似ています。
母岩は非常に硬く、結晶を傷つけずに取り出すには根気が要ります。 現地では今も、ハンマーとタガネで少しずつ岩を割る方法が使われています。 ひと粒を得るために岩を何度も割る。この手間が、そのまま値段に表れています。
なぜ価格が高いのか
水晶は本来、それほど高価な石ではありません。 それでもハーキマーダイヤモンドの値がつくのには、いくつか理由があります。
採れる場所が限られている
産地はニューヨーク州の一帯のみ。 採掘できる土地そのものが少なく、増やすことができません。
取り出すのに手間がかかる
硬い母岩から一粒ずつ、割れないように取り出す必要があります。 機械で一気に、というわけにはいきません。
透明度の高いものが減っている
長年の採掘により、内包物の少ない澄んだ結晶は年々見つかりにくくなっています。 質の良いものを選ぼうとすると、それだけ選択肢が狭まります。
一粒ごとに大きさも透明度も形も違うため、 同じ品質のものを揃えて量産するということが、そもそも成り立ちません。 工房で扱っていても、まったく同じ表情の石に二度出会うことはありません。
石言葉と、込められてきた意味
ハーキマーダイヤモンドには「夢の実現」「浄化」「調和」といった言葉が添えられてきました。
両端が尖った形から、エネルギーが一方向ではなく双方向に流れると考えられ、 人と人との縁を結ぶ石とも語られます。 大切な人と一粒ずつ分け合って持つ、という贈り方をされる方もいらっしゃいます。
こうした言い伝えを信じるかどうかは、もちろん人それぞれです。 ただ、石を選ぶときの手がかりのひとつとして、知っておくと楽しいものだと思います。
「怖い」と言われることについて
検索していると「ハーキマーダイヤモンド 怖い」という言葉を見かけることがあります。 これは石が危険だという意味ではありません。
エネルギーが強い石だと紹介されることが多く、 そこから「扱いが難しいのでは」という印象が生まれたようです。 鉱物としては何の変哲もない水晶で、身につけて害のあるものではありません。 どうぞ安心してお使いください。
選ぶときに見るところ
透明度
澄んだものほど価値が高いとされますが、 内包物が入った石にも独特の景色があります。 小さな気泡や、水が閉じ込められたもの、黒い炭素が入ったものなど、 それぞれに違う表情を持ちます。好みで選んで構いません。
結晶の形
両端がきれいに尖り、面がはっきり出ているものが良品とされます。 ただし採れたままの姿が魅力の石なので、 整いすぎていない形を好まれる方も多くいらっしゃいます。
大きさ
指輪に仕立てるなら5〜8ミリほどが日常的に使いやすい寸法です。 大きな石は存在感が出る一方、引っかかりやすくなります。
硬度7は日常の着用に十分耐える硬さですが、先端が尖っているため強い衝撃は苦手です。 入浴や就寝のときは外し、使ったあとは柔らかい布で軽く拭いてください。 超音波洗浄機は内包物のある石だと割れることがあるため、避けたほうが安心です。
よくあるご質問
Qハーキマーダイヤモンドは天然石ですか?
はい、天然の水晶です。人工的に作られたものではありません。研磨や加工をせず、採れたままの状態でジュエリーに仕立てることが多い石です。
Q普通の水晶と何が違うのですか?
産地と結晶の形が違います。ハーキマー郡の地層でだけ育ち、両端が尖った十八面体になります。磨かなくても強い光沢がある点も、一般的な水晶とは異なります。
Q金属アレルギーがあるのですが
石そのものは水晶なので問題ありません。留め具の金属によるため、K10やK18のゴールド、プラチナなどに変更してお作りすることができます。ご相談ください。
Q婚約指輪や結婚指輪に使えますか?
お使いいただけます。ただし硬度7はダイヤモンドより柔らかいため、毎日休みなく着けるものとしてはご注意が必要です。ふたりで一粒ずつ持つ、という選び方をされる方もいらっしゃいます。
Q石だけを購入することはできますか?
ご相談ください。お手持ちの石をお預かりして指輪やネックレスに仕立てることも承っています。